見守りサービスをはじめとする高齢者安否確認・駆けつけサービスが誕生した理由の一つが、ICT活用による介護者負担の軽減であることは過去の記事でもご紹介しましたが、見守りサービス以外の福祉分野でも日々技術革新が行われています。
今月の7日から9日にかけて東京ビッグサイトで行われた国際福祉機器展(略称HCR)でも、技術の進歩を感じさせるハイテクな福祉グッズが多く紹介されており、時代の変化を感じました。
本日はそんなハイテク福祉用具についての記事となります。
まずはHCR2015で発表された住友理工の「歩行アシストスーツ」をご紹介。
九州大学との共同開発で生み出されたこのアシストスーツは、左右の足に固定したベルトを腹部に設置されたモーターが巻き取ることで、着用者の歩行動作をサポートします。
足に取り付けるベルト位置をやや低めにすることで、ひざ下の動きもサポート。
従来の歩行支援器よりも広い歩幅で歩くことが可能だそうです。
稼働時間は約1時間30分程度。現在は実証実験を進めており、実験が完了次第モニター販売を計画しているとのこと。
同じくHCR2015に展示された製品から。大和ハウス工業は自動排泄処理ロボット「マインレット爽」の新型を公開しました。
既存のものよりも大幅な小型・軽量化を実現したほか、排泄物を吸い込むカップ部分の性能も向上したそうです。
これにより「臭い漏れを防ぎ、清潔感を保つことができるようになりました」とは、同社の弁。
排泄ケアをロボットがサポートすることで、本人・介護者の負担軽減に繋がることが期待されています。
続いては株式会社ネットワーク21が手掛ける「骨格トラッキング見守りセンサ・転倒検知システム」をご紹介します。
各種センサーを用いることで、高齢者の骨格の動きを検出し、転倒などの事故を把握を可能とする製品です。
ただ転倒を検知するだけではなく、関節の加速度などからダメージの程度を判定できるというから驚き。
さらに胸部の動きから呼吸状態・心拍数なども割り出すことができ、呼吸・脈拍が乱れている状態が長時間続いた場合は、介護者に異常を知らせる機能がついているとのこと。
具体的な発売時期・価格は未定ですが、1年半から2年を目途に実用化する予定だそうです。
本日最後に紹介するのは、制御機器大手のナブテスコが出展した「外出支援アシスト歩行車 FLAGSHIP MODEL ES-03」です。
近未来を感じさせる流線型デザインのこの歩行車、後輪にモーターが搭載されており、このモーターが上り坂での自動アシスト、下り坂での自動ブレーキの役割を果たします。
加えて急加速を防ぐ抑制ブレーキも搭載。歩行者が前のめりに倒れ込んでしまうような事故を未然に防ぎます。
このハイテク仕様な歩行車は折りたたんで持ち運ぶことも可能とのこと。技術的な凄さは言うまでもなく、こういったユーザー目線な利便性への配慮もうれしいですね。
価格・発売時期については未定ですが、担当の方は「街中での実証実験を行った後に質の高い状態で製品化までもっていきたい」と意気込んでおられました。
HCR2015に出展された展示品の中から一部を抜粋してご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
本日紹介したのはHCRに出展していた製品のほんの一部に過ぎませんが、それでも技術の進歩の凄まじさを感じ取っていただけたのではないかと思います。
現在の日本は超高齢社会に加えて介護者が不足している状態です。
さらにこの『高齢者>介護者』の構図は、今後ますます顕著になっていくといわれています。
増える高齢者、足りない介護者。介護者を増やすことで解決できれば話は簡単なのですが、もろもろの問題からそれも難しいようです。
そこで期待されているのが、ICTやロボットなどを最先端技術。
人が足りていないならば、少ない人員でも回せるように効率化を図ろうという発想ですね。
冒頭でも触れましたが、当サイトでご案内している見守りサービスもセンサーなどのICTを活用することで、介護者の負担軽減と高齢者の自立した暮らしをサポートすることを目的としたものです。
このようなハイテク技術+介護・福祉といった事例は、社会の高齢化と技術革新が進むにつれて今後ますます増えていくことでしょう。
何かと問題視されやすい高齢化ですが、最先端技術の協力があれば案外らくらくと乗り切れるのかもしれませんね。